串カツ
食いしん坊さんに捧げる選書シリーズ
食べることが大好きなhon,toiスタッフが「おいしいもの」を軸に素敵な一冊をご紹介します。
さて、栄えある第一回は…串カツ!
しょっぱなからオッサン臭でごめんなさい、
もっとお洒落なもの選べよ、という声は甘んじで受けます。
でも、私串カツ好きなんですよ、とっても!
串カツ好きがレクチャーする串カツの極意――
それは、ソースのつけ方にあります。
ソースは「きっちり、半分だけ、そっと」
この三つがキーワード。(たいそうなこと、言うてますね)
まず「きっちり」…きっちりソースをつけないと味気なくて後悔します。
それから「半分だけ」…きっちりつける、と言っても付け過ぎは厳禁。半分は素のまま残しておかないと、サクサクころもが泣きます。
そして「そっと」…唇をそっと、ころもに近づけて、触感を楽しんでください。たくさん頼んでバラバラにお皿に置いて、中に何が入ってるか分からないようにして、食材を舌と唇だけで味わうのも乙なもの。
串カツの楽しみのひとつは、中に何が入っているか分からないところ。
コロンとしたきつね色のころもの中は何か、一口かじってみるまでわかりません。
中身の分からないものを口に含むときって、どきどきしますよね。
サクリ、ところもを破るその瞬間まで、最後の結末はお愉しみ。
ころもの中は闇。
感覚を研ぎ澄ませ、揚げたての、ジウジウと音のする串カツと私の、一騎打ちです。
さて、串カツと一緒にご紹介する一冊は
服部まゆみ著 『この闇と光』
タイトルにもある「闇」,
これが本作の大切な舞台装置です。
目隠しをされ、暗い中を一歩一歩、足元を確かめながら進むような感覚でストーリーは展開します。
主人公は美しいものに囲まれて暮らす盲目の姫。
冬の離宮での、耽美的な彼女の生活が綴られています。
もう少しお話したいのですが、この作品を楽しんでもらうために、事前情報はこのあたりで。
暗闇の中、皮膚に触れる感覚だけを頼りに世界を形作る刺激的な読書体験です。
ちなみに私が一番好きな具はうずらの卵。
これは一目で中身が分かってしまうので、串カツにおける「暗闇の刺激」は楽しめないんですけどね。
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