小寒

小寒、と呼ばれる今の季節にご用意するのは

桜木紫乃さんの『誰もいない夜に咲く』です


寒い寒い北の地で、赤くなった指先をきゅっと握りしめて

それぞれの人生を強く生きる女たちの物語


読んでいる私の手までかじかんでしまうのでは、と思うほど

北海道の、キン、と冷え切った情景が美しく描かれています


一年で一番寒い季節に入っていく時期ですが、

地中では凍った水が少しずつ動き始めるのです

それぞれの物語にも、緩む氷のように、かすかな光が感じられます


幸せなだけでは生きて行けない、強くならなければ。

彼女たちに薄日のような幸せが、幾重にも降り注いで柔らかい光となりますように。

少し身の引き締まる思いで本を閉じます。


寒いからこそ、小さな温もりの美しさが感じられる季節です



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