巻きずし

巻きずしは色とりどりの具がぎゅっと身を寄せ合っているのが愉しい。

胡瓜、かんぴょう、玉子焼き。その横で桜でんぶがこれからやってくる春を思わせる。

どの具もばらばらに食べても美味しいけれど

やはり、ひとかじりで口の中にぎゅっと詰め込むのが良い。

食べ終わるまでしゃべらない。

ちょっとした緊張感を持って、みんなで同じ方向を向いてぱくり。

口いっぱいに、具それぞれの味や歯ごたえが交互にやってきて

それと呼応するように一年のあれこれが頭の中を通り過ぎていく。

喉を詰まらせそうになりながら、やっと食べ終えて、みんなでニコリ。

元気に一年すごせますように。

巻きずしの具、何を入れますか。

我が家では、玉子・椎茸・かんぴょう・胡瓜・桜でんぶ・海老か穴子

などのスタンダードなものに

季節がら菜の花なんかを足していました。

菜の花が入るだけで、ぐっと大人の雰囲気が増すのはふしぎですね。

さて、巻きずしとマリアージュさせる本は

メアリー・ノートン著 魔法のベッドシリーズ

少し古いものなのですが、イギリスの児童文学です。

(私が子供のころは「魔法のベッド」という題でしたが

最近は「魔法のベッド南の島へ」という題で出ているようです)


ノートンの名前は知らずとも、

宮崎監督のアリエッティの原作「床下の小人たち」はご存知の方も多いのではないでしょうか。

親戚の家に預けられた兄弟たちの冒険譚。

三兄弟が魔法のベッドを操り

仲よし兄弟のケアリイ、チャールズ、ポールのそれぞれの個性が、巻きずしの具のように絶妙なのです。

紅一点のケアリイもちょっと生意気な弟たちもすごく魅力的で

三人の活躍に、大人もついつい夢中になってしまうほど。

イギリスのファンタジイ文学は、舞台設定に惚れこむことが多いのですが

この作品は登場人物の掛け合いが面白く、ファンタジイの中でも少し違った魅力を持った作品です。

巻きずし片手に、いかがでしょうか。



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